top>ヒューマンインターフェース班>HMI班


‖HMI(ヒューマンマシンインターフェース)班

―CGとセンサによるロボットの頭部実現方法―




<パートナーロボットと人間とのコミュニケーション>

 近年,人間にとって親和性のあるパートナーロボットを実現するため,コミュニケーションに重要な頭部の構築手法が多数研究されています.なかでも, CGによりロボットの頭部を構築する手法はコストや保守性の面で有用です.また,CGによってリアルな顔を表現する技術も進展しており, 将来人間同様に表情を変えながらコミュニケーションをとるロボットが実現可能であると予想されます.

 しかし,CGによって仮想空間上に実現されたロボットの頭部には,実空間の光や風など,物理的環境が反映されずリアリティの欠如につながることは否定できません. そこで,本研究では人間に近いリアルなロボットの頭部を構築するため,仮想空間上のロボットの頭部に実空間の環境を反映させるシステムを提案しています.


Realization of Robot's head using Computer Graphics and Sensors

<CGとセンサにより作成したロボットの頭部概観>

 本システムでは,上図のようにCGで作成したロボットの頭部を表示装置上に表示し, 周囲の光や風などの環境情報をセンサから検出して得られた情報を元に頭部のCGモデルを変化させます. 実際に本システムにより構築したロボットの頭部は,下図のように環境に応じて変化を生じます. なお,本システムによるロボットの頭部はすべてOpenGLにより作成しています.




<光による頭部の変化>
(赤い光をロボットに向かって左から右へ移動させたとき)
動画はこちら(4.86Mbyte gif形式)

※ 光の色・明るさ・向きに対応してロボットの顔の色・明るさ・影の向きが変化します.
ここでは,光の情報を取得するセンサとしてカメラを使用しています.





<風による頭部の変化>
(強い風をロボットに向かって左から発生させたとき)
動画はこちら(1.38Mbyte gif形式)

※ 風の強さ・向きに対応してロボットの髪のなびく幅・向きが変化します.
ここでは,風の情報を取得するセンサとしてマイクロフォンを使用しています.





<圧力による頭部の変化>
(ロボットの横髪を下から上に向かってかき上げたとき)
動画はこちら(3.49Mbyte gif形式)

※ 圧力の加わる位置・強さに対応してロボットの顔の皮膚及び髪が変形します.
ここでは,圧力の情報を取得するセンサとして超音波弾性波方式タッチパネルを使用しています.



 本研究では,これまでに実現したシステムの有意性を評価するため,ロボットの頭部に対し以下のようなアンケート調査を行いました.


<アンケート項目>

やさしい

1 - 2 - 3 - 4 - 5

こわい

感じのよい

1 - 2 - 3 - 4 - 5

感じが悪い

親しみやすい

1 - 2 - 3 - 4 - 5

親しみにくい

違和感がある

1 - 2 - 3 - 4 - 5

違和感がない

心理抵抗がある

1 - 2 - 3 - 4 - 5

心理抵抗がない

分かりやすい

1 - 2 - 3 - 4 - 5

分かりにくい

興味深い

1 - 2 - 3 - 4 - 5

退屈な

リアルな

1 - 2 - 3 - 4 - 5

リアルでない

人間らしい

1 - 2 - 3 - 4 - 5

機械的な

敏感な

1 - 2 - 3 - 4 - 5

鈍感な


※ アンケート内容はSD法に基づく 5段階,10個の形容詞対から成り,学生50名を被験者としました.


 本調査により得られた回答をSD(Semantic Differential)法により分析したところ,本システムがロボットの頭部の「リアリティ」「親和性」の向上において有効であることが確認されました.

 一方,上記アンケートでは,人間がロボットに対して抱く「違和感」「心理的抵抗」に関し,これまでのシステムの有意性が確認されませんでした.この要因として,プロトシステムによるロボットの頭部では,顔の印象を左右する重要な要素である「目」に変化が生じなかったことが挙げられます.ロボットの目が人間の目同様に実現されていなければ,ロボットの顔の印象が人間相応に再現されず,違和感や心理的抵抗につながるおそれがあります.

  そこで本論文では,ロボットに対する違和感や心理的抵抗を軽減するため,ロボットの目が周囲の景色や明るさなど実空間の環境に応じ,人間の目と同様に変化するシステムを新たに構築しました.下図では,プロトシステムで実現したロボットの目と,新システムによるロボットの目とを比較しています.




プロトシステム




新システム

<周囲の景色・明るさに応じた目の変化>
(白い光をロボットに向かって左から右へ移動させたとき)
動画はこちら(2.10Mbyte gif形式)

※ 周囲にある物体や光源がロボットの目に映り込みます.
ここでは,周囲の景色や明るさの情報を取得するセンサとしてカメラを用いています.



 新たに構築したシステムの有効性を検証するため,新システムとプロトシステムによるロボットの頭部を比較してどのような印象の違いがあるか意見調査を実施しました. その結果,新たに実現されたシステムはプロトシステムに比べ違和感や心理的抵抗を覚えないという意見が得られました.

 このことから,本研究により実現した「実環境に応じ変化するロボットの目」は, ロボットの頭部全体に対する違和感および心理的抵抗の軽減に有効であることが実証されました.



Copyright © Kato Lab. All rights reserved.